大好きだった人
私には、大好きだった人がいた。
「だった」と言っているが、正直過去形にしてしまってもいいのか自分でもよくわからない。
どこに惹かれていたのだろう。自分がブレないようなそんな姿だろうか。憧れでもあり、尊敬していたし、純粋に好きだった。
好きになってからすぐに遠距離片想いになってしまい、とても奥手な私は、なんのアプローチもすることができなかった。そんな中でも本当に幸せな時間を過ごせたのが約四日ほどはあるが。今思い出しても胸が締め付けられるような、ホクホクするようなそんな思い出はある。
昨年から遠距離片想いは無事終了したが、色々あって諦めざるを得ないような状況となった。しばらくは、まったく諦めることなんてできなかった。でも、たまに会ってもあの頃の胸が苦しくなるような感覚が蘇らなくなってきて、私もようやく離れることができたのかなと思えるようになった。
だが、昨日。また会う機会があった。性格が以前よりちょっとネジがゆるんだような感じになっていたものの、すごく優しいところは変わらなかった。詳しくは言えないが、ブランクを見せないかっこいい背中。また少しだけ「好き」という感情が沸き起こってしまった。
あぁ、もしあなたに恋人がいなければ。今なら私は勇気をふりしぼることが、アタックすることができるかもしれないのに。
でも、大好きだった人である。一番は幸せになってほしい。そこに私はいなくても、あなたが幸せであることが一番だと思うのだ。
なんていうけど、結局私の中では「大好きな人」に戻ってしまった、という話である。